Interview

航空機の動力源であるエンジンの整備と、どう向き合っていくか。 整備センター 部品事業室原動機整備部 エンジン整備第一課 石川 俊明 2007年入社 理学部物理学科航空機の動力源であるエンジンの整備と、どう向き合っていくか。 整備センター 部品事業室原動機整備部 エンジン整備第一課 石川 俊明 2007年入社 理学部物理学科

1分の1スケールのエンジンに感動。

学生時代は野球に打ち込んでおり、チームで一つのことを成し遂げる仕事に就きたいと思っていました。社会貢献性の高さから公共交通機関に興味を持ち、その中でも様々な職種があり、世界を相手に活躍できるANAに魅力を感じました。入社後の配属は原動機整備部門。航空機から取り外された原動機(エンジン)の計画的な整備・点検に加え、突発的な不具合にも対応する部署です。エンジンに使用される部品は数万点にも及ぶのですが、これらを分解し、洗浄、検査、必要であれば修理した後に組み立て、完成後は試運転を行います。初めてその作業に立ち会った時は1分の1スケールのプラモデルを見ているようで興奮しました。ちなみに、この原動機部門は世界最大クラスのエンジンを試運転できる日本でも限られた施設を有し、また世界三大メーカーのエンジンを整備できる世界でも数少ない整備工場です。そうした環境の中、私は入社1年目からB777型機に装備されるプラットアンドホイットニー社製とジェネラルエレクトリック社製のエンジンを担当し、分解と組み立て業務を通じて、原動機整備の基礎を学んでいきました。

信頼性の向上とコスト削減に向けて。

エンジンの組み立て作業においては、髪の毛一本の誤差も許されない高い精度での作業が求められます。入社当時はその精密さに驚きましたが、この精密さが航空機エンジンの安全、さらには搭乗するお客様の安心に繋がっていると思うと、その責任もやりがいも非常に大きな仕事です。また、エンジンを分解する際は「Bore Scope」と呼ばれる内視鏡を用いてエンジン内部の状態を詳細に点検し、「どこに、どの程度の不具合があるか」を、五感を研ぎ澄ませてチェックします。こうして蓄積した不具合情報や運航で得られたエンジンに関するデータをもとにエンジンメーカーと折衝を重ね、今後の整備に活かすことも私たちに求められている役割です。さらに、エンジン整備費用は航空機整備の費用全体に占める割合が高いため、分解作業を最適な深度で整備することで余分な部品費を抑制したり、委託した海外修理会社で廃棄される部品をエアラインの視点で分析し、寿命の延長に繋げたり、高いコスト意識を持って取り組んでいます。

確認主任者や工程管理の仕事を経験。

私個人のキャリアに関していえば、入社5年目に航空工場整備士資格を取得し、7年目には確認主任者資格を取得。これにより国土交通大臣に代わり、エンジンの品質を保証する確認主任者としての業務を担当できるようになったのですが、初めて書類に自分の名前をサインした時のあの緊張感は忘れられません。毎回心掛けているのは、「すべての人に間違いを起こす可能性がある」という前提に立って臨むこと。膨大な整備資料や実機に少しでも疑わしいところがあれば、タイムプレッシャーに負けることなく、納得するまで確認を重ねます。また、7年目からは工程管理の仕事も兼務するようになりました。整備工場に運び込まれる様々な機種の様々な状態のエンジンを、限られたスペース、限られた時間、限られた人財で良品にして後工程に引き渡すにはどうすればよいか。特に、常時、数多くの生産ラインが流れる工程管理業務において、工程表の作成は超難解であり、複雑なパズルを組み立てている感覚です。

エアラインであるANAの整備士として。

最近では、20年以上前から整備している在来機のエンジンに加え、787型機に装備されるTRENT1000エンジンの導入も経験できました。新しいシステムが搭載された新機種のエンジンを、その導入段階から自分たち自身で整備体制を整えられることに仕事の面白みと充実感を感じますし、自ら担当した新規導入エンジンを無事に後工程に引き渡せた時は、チーム全体で取り組んだ一体感と安堵感でいっぱいです。さらに、今後はANAがその開発から携わった国産航空機MRJに装備されるPW1200Gの導入も計画されています。加えて、航空機エンジンの品質も年々向上し、海外のエンジン修理工場の成長も著しい時代。今までの単純な整備では生き残れません。改めて、エアラインであるANAの整備士として今までよりも俯瞰的な視点で物事を捉え、エンジン整備の能率や品質向上とどう向き合うか。また総合職技術職としてANAという会社をどう成長させていきたいか。そんな観点で、日々の業務に取り組んでいます。

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