再発防止と未然防止。2つの方向から整備の品質を高める 整備センター 品質保証室機体品質管理部 品質管理推進チーム 久富 将司 2007年入社 /工学府航空宇宙工学専攻 一等航空整備士(B777,B787)再発防止と未然防止。2つの方向から整備の品質を高める 整備センター 品質保証室機体品質管理部 品質管理推進チーム 久富 将司 2007年入社 /工学府航空宇宙工学専攻 一等航空整備士(B777,B787)

より航空機全体に関わりたいと思うように。

小学生の頃から航空機の製造・開発に興味があり、大学では航空宇宙工学を専攻しました。就職活動の序盤は航空機製造に関わるメーカーも見て回りましたが、より航空機全体に携わりたいという理由から航空会社への想いが徐々に強くなっていったのです。また、ANAにおけるグローバルスタッフ職(技術)の仕事内容の幅広さも決め手の一つ。コックピットに乗り込み、エンジンの試運転を実施できる仕事は他にそうないと思います。1年目の配属は、ドック整備部門。格納庫での深度の深い定時整備を中心に航空機の機体整備を経験し、工具の種類や使い方といった技術的なことから、航空機がどのような仕組みで動いているのかといった知識的なことまで幅広く身につけていきました。入社5年目にはB777型機の一等航空整備士資格を取得、翌6年目にはB787型機の一等航空整備士資格を取得し、認定事業場の確認主任者として、実施された整備が規定基準に従って適切に実施されているか等、航空法に規定される確認行為を実施する業務も担当するようになりました。

ANAの要求する品質基準を追求していく。

入社7年目には、海外委託整備やボーイング社からの新規購入航空機の検査業務を行う領収検査員に。中国やシンガポール、アメリカなどへ出張し、ANAが要求する品質基準について実機検査する業務を経験しました。双方の品質基準のすり合わせや文化、風習の違いに苦労することもありましたが、ここで磨いた観察眼や交渉力はその後の仕事でも大いに役立っています。そして、入社8年目からは現在の部署である品質保証室機体品質管理部へ。ANAとして要求する機体品質基準の決定や管理をはじめ、ANAグループの整備作業品質の維持向上、課題解決、未然防止活動の推進など、幅広い業務を担当する部署に移りました。最近、企業の競争力として「QCD(Quality、Cost、Delivery)」という指標がよく用いられるのですが、いかに安く、納期に忠実であっても、品質が伴わなければ顧客満足は得られません。その企業の土台となるのが品質保証部門であり、機体品質管理部のミッションなのです。

ヒューマンエラーの再発防止に向けて。

現在、私が担当している業務は主に2つあり、1つ目が整備作業にて発生するヒューマンエラーの再発防止です。そもそも整備作業における品質管理とはヒューマンエラーの管理に他なりません。航空機整備は複雑な作業の組み合わせからなっており、製造業のように機械によって自動化することが難しいのが現状です。さらに整備士の仕事は、航空機システムから航空法、整備マニュアルまで常に幅広い知識・技量を要求されるため、たとえベテランであってもヒューマンエラーを完全にゼロに抑えることはできません。そのため、様々な仕組みによってエラーの影響をコントロールしています。万一整備作業にてトラブルが発生した時には、問題の状況を調査し、何が原因で発生したのか、マニュアルの確認や当事者の状況報告などを通してその要因分析を行います。そうして一つひとつに効果的な改善策を設定していくことで、再発防止に繋げていくのです。整備士の作業品質を管理するという立場なので、必要に応じて規定や手順の理解度を再確認するなど厳しい対応をせざる得ない場面もありますが、そこは私自身も整備士として働いていた時の経験や人間関係を活かして対応しています。

未然防止活動を発展させ、世界の空を安全に。

もう1つの業務は、再発防止とは逆に、問題が起こる前に職場のリスクを拾い上げ、事前に手を打つことで不具合の発生を未然に防ぐ活動です。具体的には、日々の作業現場で整備士の方々が「ヒヤリとした」「ハッとした」事例を「ヒヤリ・ハット」として収集し、リスクを抽出して対策を設定し、成果を現場へフィードバックする活動をしています。現在、ANA整備部門でのヒヤリ・ハットの発信は年間2000件以上。自身のヒヤリ体験をみんなで共有し安全・品質を向上させる文化ができています。ヒヤリ・ハットでは様々な課題が現場から発信されるため、多くの部署を巻き込んで取り組んでいます。時には解決策を見いだせず悔しい思いをすることもありますが、怪我に繋がる危険な作業を改善したり、ヒューマンエラーの原因になり得る要素を解消したりできると整備士の方々からも感謝されますし、やりがいを感じます。加えて、ANA整備部門の未然防止活動は、ヒヤリ・ハットの収集からリスク評価、課題解決、フィードバックまで体系立てられており、他社と比較しても進んでいます。とはいえ、目指すところは、すべての不具合の未然防止であり、まだまだ発展途上の段階。将来的には、国を動かすような未然防止活動に繋げ、世界中の空の安全を底上げするような成果を出していきたいと考えています。