Interview

航空機の品質向上に向け、機体に起こる様々な不具合と日々向き合っている。 整備センター 技術部 構造技術チーム 津留 啓介 2004年入社 理工学部開放環境科学専攻 航空工場整備士(機体構造)航空機の品質向上に向け、機体に起こる様々な不具合と日々向き合っている。 整備センター 技術部 構造技術チーム 津留 啓介 2004年入社 理工学部開放環境科学専攻 航空工場整備士(機体構造)

実地での経験を積みながら、機体について学ぶ。

大学院では機械工学について研究しており、就職活動の際も主にメーカーを中心に考えていました。しかし、メーカーの技術職はプロダクトの一部、例えばパソコンでいうとキーパッドを深く追求することが多いと知り、より視野を広げられる仕事に就きたいと思うようになりました。ANAの総合職技術職を志望したきっかけは、航空機全体に携われると知ったからです。1年目に配属となった機体整備部はその点では希望通りの部門でした。主な仕事は航空機の修理と点検。現場での作業を通して、機体全体の細かな部分も見ることができる、航空機について知るにはベストな仕事だったと思います。航空機の構造、部品の付き方、ダメージの発生しやすい部位と点検方法など、実地での経験を積みながら航空機について学んでいると実感できました。入社から3年間は現場で手を動かしながら、整備の作業全般に必要な知識やスキル、そして機体への理解を深めていきました。

製造現場を知ることは、機体の弱点を知ること。

ある程度整備の経験を積んでくると、次第に手を動かす仕事から、現場全体を取りまとめる仕事にシフトしていきました。私の場合は入社4年目からその機会が増え、現場の管理なども行っていました。不測の事態が起きた際は、より作業がスムーズになるよう点検の流れを組み換えたり、不具合を発見した時はそこに対する整備の工程を考えることもありました。全体を俯瞰して見られるようになるとともに、仕事を前に進める力が身につきましたね。入社6年目には、ボーイング機の品質チェックを行う領収検査のため、半年間ボーイング社のあるシアトルへ。整備部門の人間として非常に大きな経験でした。機体そのものがどのようなプロセスでつくられているのかを知ることは、機体の弱点を知ることにも繋がり、不具合の原因をイメージしやすくなります。また一方で、個人的に将来は技術部に異動したいと考えていたため、その意味でも製造現場を知ることができる貴重な体験となりました。

二度と、同じ不具合を起こさないために。

整備部で丸8年を過ごし、9年目からは希望していた技術部へ異動しました。現在はボーイング777機の担当として、航空機の品質向上に努めています。業務の中で大きな割合を占めているのが、運航の遅れやキャンセルの原因となる機体の不具合の解消です。例えば不具合により運航が遅れた場合、それは私たちが経験したことのあるものか、初めて経験するものであれば、今後二度と同じ事例を起こさないためにはどうすべきかなどを考えていきます。日本は世界的に見ても多頻度で国内線を運航している国。そのため機体に疲労が溜まりやすく、それが不具合を誘発する大きな要因となります。そのため当社が経験する不具合は「世界初」であることも珍しくなく、その事象をもとに「こんな改修をしたい」という折衝をボーイング社と行います。ただ、根本的な原因を突き止めることは簡単ではありません。いくつもの要素が絡み合っている場合が多く、原因が分かっても言葉も文化も異なる人へ伝えていかなければなりません。それが難しさであり、だからこそやりがいや面白さを感じる部分でもあります。

ANAの要望が、ボーイングのマニュアルに。

一方、不具合を予防することも技術部の大切な仕事です。これまでの仕事の中で特に印象的だったのが、ボーイング社から提示された点検マニュアルを、ANAの要望をもとに改訂したこと。当初ボーイング社から提示されたのは、作業に1ヶ月近く要してしまうものでした。そこでこちらからも他の点検手法を探り、半年〜1年近く折衝を重ねた結果、逆に私たちの意見をマニュアルとして取り入れてもらえることになったのです。ANAの中でも機体の品質向上における役割を担う技術部だからこそ経験できる仕事の一つだと思います。とはいえ、同じ部門の先輩たちを見ていると、私はまだ小さな枠に収まっているなと感じさせられます。機体の品質向上のために、技術部の人間としてやれることはもっとたくさんあるはず。近い将来、部門内外問わず「津留の言うことならば」と信頼してもらえるだけの実力をつけること。それが私にとっての今の目標です。

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