Closstalk

安全で安心なフライトをつくるには、
職種を超えた連携が欠かせません。
特にCAが最も近くで仕事をするパイロットとは、
お互いへの尊敬と信頼による
堅い絆で結ばれています。

岩田
フライトでは毎回チームを組むクルーが異なります。日野さんとはこの対談で初めてご一緒しますが、フライトでもこのように「はじめまして」で始まることが多いですね。その日乗務する飛行機に我々が乗り込むと、CAが先に機内で準備をしていて、そこではじめてお互いに「よろしくお願いします」と挨拶します。
日野
はい。その後行う、フライトの気象情報や搭乗されるお客様の情報、機内サービスの計画などを共有する全体ミーティングは、緊張感も伴う場ですが、ジョークを交えながら話す機長もいて、そういう時は皆の空気が一気に和みますね。私たちが楽しくフライトできるようにとの心配りを感じます。また、機長や副機長とのコミュニケーションの窓口となるのは、CAの責任者であるチーフパーサーの役目です。最初の挨拶をきちんと笑顔ですることで、その日はじめてお会いした方々であっても、上空で突発的な事態に遭遇してもすぐお互いに意志疎通が図れるような雰囲気をつくるようにしています。

日野
パイロットの役割は飛行機の安全運航であり、一方でCAの役割はお客様の安全を守り、乗って良かったとお客様に満足していただけるサービスを提供することです。それぞれに役割は違いますが、お客様を安全に目的地にお送りするという同じ目標のために、お互いに情報を共有して連携を図っていくことが大切だと思います。パイロットには客室の様子が見えませんので、例えば気流が安定せず飛行機が大きく揺れたときには、飲み物がこぼれてやけどをされた方がいないか、気分が悪くなってしまった方がいないかなど、パイロットが必要な情報が何かを考えながら、客室内の状況やお客様の様子をわかりやすく報告するようにしています。
岩田
我々に客室の様子が見えないのと同じように、客室の中にいるCAにはコックピットが見えません。先の運航状況の予測や計画を知らせるのは我々の役目です。例えば、着陸に向け高度を下げ始めるのは何時で、何時までに着陸準備を終える必要があるのか、具体的な情報を提供することで、客室でのサービスがやりやすくなるように心がけています。コックピットの壁によって前と後ろが遮断されているので、フライト中はインターフォン越しにやりとりする声だけが頼りです。相手の顔や様子が見えないからこそ、相手の仕事を理解して、お互いに仕事がやりやすいように積極的にコミュニケーションを取り合うことが重要だと思いますね。
日野
短時間でのミーティングやフライト中はゆっくりお話しする余裕はありませんが、その代わり、フライトの合間の休憩時間や、ステイ先で一緒に食事に行ったりする時などは、お互いの仕事について知る良い機会だと捉えています。「あの時はこのように考えて、判断をしたんだよ」といった話を聞くと、フライト中のコミュニケーションの裏にある想いや考え、仕事に対する姿勢などが理解でき、次のフライトに役立てられます。
 

日野
パイロットの方が安全に運航してくださっているからこそ、私たちCAは安心して仕事に打ち込むことができます。そういう意味でパイロットの存在は大きいですね。以前、フライト前のミーティングで、「飛行中に何かあった時は、最終責任者である自分がすべて責任を持ちます」と話した機長がいらっしゃって。その言葉に大きな安心感を覚えたと同時に、身が引き締まる思いがしました。なぜなら、その言葉には、一緒にフライトの安全と安心をつくっていく私たちへの信頼を感じたからです。例えば、機内の安全のために機長がシートベルト着用サインを出したら、3分以内にお客様もCAも全員が着席してシートベルトを着用している状態にするなど、客室の保全についてはCAに任されています。機長の責任の重さを考えると、私たちCAも自分たちの職務をまっとうして、機長の信頼に応えたいと思いますね。
岩田
こちらが求めることを先回りしてやっていただけるような、気配りのすぐれた方は印象に残っています。例えば、パイロットは無線でのやり取りが多いのでのどが渇きやすいのですが、何か飲みたいなと思うときに、絶妙のタイミングで飲みものを出してくれる方がいます。小さなことかもしれませんが、仲間への心配りを感じ、「この人がチーフパーサーでよかった」と思ったりしますね。
日野
CAという仕事は、お客様や一緒に働く人の言葉や表情から相手の気持ちを察したり、物事のちょっとした変化に気づくことが大切だと日々感じています。気づきのアンテナを張り巡らせておくことが、お客様の安全や心地よいサービスにつながり、また一緒に働く人にも気持ちよく働いてもらえると思うからです。そのために私が取り組んでいるのは、接遇やマナー、食べ物、異文化理解などに関する本を読んで知識や価値観の幅を広げることです。また、時間のあるときにはヨガや入浴によって気持ちに余裕を持たせるなどの自己管理にも努めています。

岩田
仕事の内容や役割は違えど、パイロットとCAは一つのフライトをつくっていく仲間だと思っています。フライトごとに一期一会の間柄ですが、良いフライトをつくりたいという共通の想いがあるからこそ、つねにその時々で最高のパートナーシップが発揮できるのだと思います。
日野
岩田さんは、もしフライトをご一緒したら、何でも話したり相談できる気さくな方なんだろうなと思いました。
岩田
ありがとうございます。いつかぜひご一緒したいですね。
 

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